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2024年4月14日日曜日

オードリーのラジオ番組も担当する作家の『トークの教室』、「トークなんてする機会がない」という人も読むといいかも

トークの教室

トークの教室: 「面白いトーク」はどのように生まれるのか』読了。オードリーをはじめとした多くの芸人、アイドルのラジオ番組を担当(?)してきた作家さんによる一冊。トークがうまくなるノウハウというより、それ以前の考え方を紹介していて、これを読んですぐトーク力が上がるというものではないが、気づきのきっかけになるのではないかと思う。

2024年3月24日日曜日

『勉強の価値』ーー「これ勉強する意味あるの?」と聞かれたら、どう答える?

勉強の価値』(森博嗣著、幻冬舎新書)を読了。森さんは『すべてがFになる』が特にお気に入りの好きな作家さんで、S&Mシリーズや、エッセーの『臨機応答・変問自在』や『森博嗣のミステリィ工作室』、『小説家という職業』は何度か読み直しています。

ただここ数年は2ー3年前に『お金の減らし方』は読んだものの、新刊をあまり追っておらず、久しぶりに買ったのがこの『勉強の価値』ですが、新刊ではなく、2020年の刊行です。

長年、大学教員をされていた森さんの「勉強論」について知りたくて読んだところ、これまで氏のエッセーを何冊か読んできた身としては、納得の森理論の集大成でした。

2024年3月17日日曜日

『常識として知っておきたい裏社会』ーー裏社会の問題、他人事だと片付けてはいけないこと

 

常識として知っておきたい裏社会』(彩図社、懲役太郎、草下シンヤ)読了。元ヤクザのYouTuberと、裏社会に精通した編集者の対談形式で読みやすい。

懲役氏は名前通り、収監された経験がある元ヤクザとのこと。氏が現役だったのは暴対法の改正や暴排条例の施行などでヤクザ・暴力団への締め付けが厳しくなる前ので、今のヤクザを取り巻く環境を見て隔世の感を覚えている様子。ただいろいろ変わったとはいえ、ヤクザの論理や社会がどういうものか、(おそらく)変わらないであろうこともあるはずなので、氏の体験と、そのときの気持ち・考えを興味深く読むことができた。

2024年3月3日日曜日

ヒトはマウンティングから逃げられない。話はそれを認めてからだ――『人生が整うマウンティング大全』

『人生が整うマウンティング大全』

人生が整うマウンティング大全』(マウンティングポリス著、技術評論社)読了。前半は常にニヤニヤしながら、時に声出して笑いながら読みましたが、すべて読んでみてこれはとんでもない一冊だ、と思いました。

本書を単なる”ネタ本”としてスルーしたり、いくつかのマウンティングケースを読んで分かったつもりなったりするのはもったいないです。

2024年2月24日土曜日

『メンタル脳』なぜ幸せな気持ちは長続きしないのか 本書の次は橘玲さんの著作を読むといいかも

メンタル脳

メンタル脳』(アンデシュ・ハンセン著、新潮新書)読了。『スマホ脳』が2021年に一番売れた本(オリコン)らしいのですが、このシリーズは読んだことがなく、橘玲さんが勧めるコメントをしておられたので読んでみました。かなりやさしく、中高生くらいでも読めそうな一冊でした。

2024年2月17日土曜日

『ルポ歌舞伎町の路上売春』は新聞記者らしい労作 鈴木涼美さん・宮台真司さんのインタビューによる締めもよい

『ルポ歌舞伎町の路上売春』
 

ルポ歌舞伎舞伎町の路上売春ーーそれでも「立ちんぼ」を続ける彼女たち』(春増翔太著、ちくま新書)を読了。『ルポ歌舞伎町』や『ルポ歌舞伎町 路上売春』という類書や、その他新宿・歌舞伎町の歴史に関する本は何冊か読んできているので、それらと比較すると、本書の歌舞伎町の立ちんぼたちへのアプローチ、取材手法が実に新聞記者らしいそれで、元記者の自分としてはしっくりきました。

2024年2月10日土曜日

2024年2月8日木曜日

『世界一流エンジニアの思考法』――ググレカスの日本では難しいこと(だけど諦めてはいけないこと)

『世界一流エンジニアの思考法』

世界一流エンジニアの思考法』(牛尾剛)を読みました。マイクロソフトのシニアエンジニアが書いた生産性を上げるためのコツやマインドについて書かれた本です。

2024年2月6日火曜日

橘玲『スピリチュアルズ 「わたし」の謎』の感想・注目ポイントメモ

橘玲『スピリチュアルズ』『運は遺伝する』
Ⓒ橘玲(幻冬舎文庫、NHK出版新書)

橘玲さんの『スピリチュアルズ「わたし」の謎』と『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功哲学」』を立て続けに読んだ。この橘さんらしい本でとても面白かったのだけど、このテーマについては消化しきれていないので、まず『スピリチュアルズ』のほうから、手帳にメモ書きしたところを備忘で引用し、感想をメモしておきたい。

2024年2月4日日曜日

『元カレごはん埋葬委員会』限界まで怒りもせずに許すなんて

 


天狼院書店の店長をされていた時から注目していた作家・川代紗生さんの『元カレごはん埋葬委員会』(サンマーク出版)を読了。読み始めてすぐ、「ドラマにしたら桃子、店長、黒田は誰がやるといいだろう」とか想像するのが楽しくなった(んだけど、もう舞台になっている。業界人の目を付けるスピードはやっ)。日ごろはチェーンのカフェしか使わないという人でも、こんな喫茶店のような場所が欲しくなるんじゃないだろうか。

2024年1月22日月曜日

『ルポ歌舞伎町』住人だからこそ見られたもの、聴けたこと、わいた感情

國友公司さんの『ルポ歌舞伎町』読了。Amazonのプライム会員ならKindleで無料で読める。2023年2月発行なので、まだ1年弱なのにもう無料で読めるという太っ腹。内容は、歌舞伎町に興味がある人なら一読して損はないどころか、とても面白く読めると思う(自分は数日で一気読みした)。

2024年1月4日木曜日

『イーロン・マスク』正月に一気読み。衝突のないヌルい現場から新しいモノは生まれない

 

イーロン・マスク


昨年発売されて話題になっていたイーロン・マスクの公式伝記上下巻を正月三が日で一気に読みました。各450ページくらいありましたが、ほぼ2日で読み切りました。テスラやスペースXについては何となく、Twitterについてもニュースや報道などから彼がやったことを知っていたつもりでしたが、だからこそ「実は裏側でそういうことがあったのか……」「イーロン・マスクが突き抜けた人物だとはなんとなく知っていたが、ここまでだったか……」と知られて面白かったです。

2023年12月3日日曜日

人間は変わるもの。ブレないこと・一貫性だけを強調することにそんなに価値はあるのか? 『訂正する力』(東浩紀)感想

訂正する力

東浩紀さんの『訂正する力』(朝日新書)を読了。

ビジネスでもエンタメでも何の世界でもいいのですが、ある人が頭角を現わしたり、注目されたりすると、ずっと昔の発言や行動が掘り起こされ、まったく関係のないようなことであっても、ネガティブな評価に結び付ける傾向がときおり見られるのが、自分はすごく嫌でした。

「昔はこんなことを言ってたのに、今はこう言ってる。意味が分からん」みたいなこと。いや、それよりむしろ、「昔こんなことを言っていた。だから今も同じ意見のはずだ。だからダメだ」みたいなほうでしょうか。

たとえば若いころにちょっとトガったことを言っていた人物が、歳を重ねてなお同じ考えを持っているとは限らないと思います。

なのに、なぜそこで「同じ人物」というだけで、「変わってない」と決めつけてしまうのでしょうか。

2023年9月17日日曜日

めいろまさんの『激安ニッポン』感想 貧しくなった(これからもっとなる)日本でどう生きていくか

Twitter(現X)のMay_Roma(めいろま)さん、谷本真由美さんの新刊『激安ニッポン』を読みました。タイトルどおり、いかに日本が安い国になったかについて、各種のデータを交えて整理、海外と比較して、予想される未来について警鐘を鳴らした一冊です。

2023年4月22日土曜日

2022年2月6日日曜日

腹は「くくる」ものであって「探り合う」ものではない――『クリエイターとクライアントはなぜ不毛な争いを繰り広げてしまうのか?』を読んで

やしろあずきさんと福原慶匡さんの『クリエイターとクライアントはなぜ不毛な争いを繰り広げてしまうのか? (星海社 e-SHINSHO)』を読了。

書籍のタイトルがまさに本書のテーマで、著者の二人がクリエイター、クライアントそれぞれの立場から「なぜそういう行動をとるか」「なぜそう言うのか」を述べる対談形式。

映像やイラストなどビジュアルに限らず、テキストを納品するライターにとっても読んでおきたい一冊。自分は受発注両サイドを経験しているのでわかりみしかない。

いくつも「なるほど」を思う箇所があったのだけれど、いくつか備忘でまとめておく。

レファレンス(参考作品)は「どのポイントを参考にしているか」もあわせて伝えるべき

クライアントとクリエイターが同じものをレファレンスにしていても、見るポイントが違うとズレが生じてしまうという話。

たしかに「新海誠作品みたいな感じで」といわれて、「雲が印象的な青空」ととらえるのか、「思春期の男の子が経験するもやもやした失恋」ととらえるのかでアウトプットは大きく異なりそう。「コーラ」といわれて、「シュワシュワした炭酸水」ととるか「甘くて黒い水」ととるのかでも違う。

言うまでもないが、レファレンスは「これをパクッてくれ」ということではない。

締め切りは日でなく時刻と理由もあわせて認識すべき

締め切りが「金曜日まで」といわれたときに、クライアントはたいてい会社員なので営業時間内(17:00とか18:00)をイメージするが、クリエイターは「金曜の23:59まで」と考えてしまうという話。

さらにいえばクリエイターは、「どうせクライアントの担当者は金曜の夜はもう帰ってるし、土日は見ないだろうから月曜の朝までに送ればいいや」となりがち。

この認識の齟齬は絶対に起こるので、自分はライターさんには、時間指定しないまでも「金曜の夕方まで」とか「金曜の午後イチに」といったふうに、幅を持たせながらもある程度狭めることをするようにしている。さらにいえば、「この日の営業時間中に確認したいので」といった理由を伝えたりもする。逆に「月曜朝にみよう」と思っている場合は、それも伝えてあげて、「金曜が締め切りだけど、遅れても大丈夫」であることも伝わるようにする。

ちょっと脱線するが、クライアントとクリエイターの関係に限らず、仕事を一緒にやっている企業同士の関係において、金曜の終業時間ギリギリに相手にボールを渡すようなメールをする人は、よほど上から目線か、想像力が足りない人だなと思うようにしている。自分だけすっきりして休みに入ろうという魂胆がみえみえだからだ(かつては自分もやってしまったかもしれないので、今は注意している)。

遅れるときの連絡は遅れる見込みになった時点ですべき

遅れることが分かったら、その時点で相手に連絡するという話。

これはとても大事。締め切り当日になって連絡してこられても困るし、さらにいえば締め切りの時刻になって「間に合いません」といわれても、何の救いもない。

仕事をする上で「褒める」ことは強制と思うべき

この通りの発言ではないものの、福原さんがこういう旨の指摘そしていて、これは仕事を円滑に進める上でとてもいい考え方だと思った。

結局、なぜ不毛な争いを繰り広げるかというと……

要はお互いの想像力不足ということではないだろうか。本書の帯にもあるように「どちらかが0か100かで悪いことというのは、普通はない」わけだから。

ただ、それは両方を経験したら容易に分かることなのだが、どちらかしか経験していないと、考えても考えても気づかない、分からないもの。

だがクライアントの担当者はまだいい。というのもクリエイターに仕事を発注するクライアントはたいてい企業で、上司や先輩がいるので、何か粗相があれば叱ってもらえるから。

一方、クリエイターはフリーのことが多く、叱ってもらえない。そうすると自分の非に気づかず、成長もできないどころか、クライアントから無言で切られて次回発注がなくなってしまうだけだからだ。

クリエイターだって作品を売っている以上ビジネスの枠組みに入るので、自分のためにもクライアントにあわせたほうがいい。それは契約書を読んだり請求書を出したりという、クリエイションではない部分のこと。

とはいえ、クライアント側も、クリエイターを下請けの作業者として考えないこと。ビジネスだから、お金を払っているから、と自分たちの都合や論理を一方的に押し付けないこと。

クリエイターとクライアントはビジネスを一緒に進めるパートナーであるはずだが、どうしてもお金を払うクライアントの側が強くなりがち。このため、上で述べた「金曜の終業時間ギリギリの連絡」についても、発注側の担当者が”知ってやってる”ということも起こり得る。

クリエイターとクライアントだろうが、企業同士だろうが、相手のことを考えて向き合うしかない。なぜなら人と人の関係があってこそ仕事は進められるのだから。

「争い」は避けられないが「不毛な争い」は避けられる


そう考えるにつけ、本書で問題視されている「不毛な争い」の多くは、実際には避けられるのではないかと思う。

いや、「争い」がなくなるということはないだろう。利害が対立することはあるし、クライアント側は、個人の意思より組織人としてのそれを通さないといけないこともある。争いというか対立はする場面がある。

ただ、なるべく「不毛な」ものはしなくて済むための事前の準備・努力はできるはず。それには関係性の見直しや、お互い守るべき線の共有と順守が必要だろう。その前段に必要なのは、可能な限りの情報共有であり、認識あわせだろう。

よい仕事をするために、腹はくくるものであって、探り合うものではない。

そのための第一歩は本書をクリエイター、クライアント双方が読むことではないだろうか。

2022年2月3日木曜日

リアクションしかできないと議論はできない。リスクをとってスタンスをとること――「自分の意見で生きていこう」(ちきりん著)


ちきりんさんの『自分の意見で生きていこう――「正解のない問題」に答えを出せる4つのステップ』読了。まさに「誰かのアクションへのリアクションばっかじゃなく自分で考えてリスク覚悟でスタンスをとれ。話はそれからだ」という話。

そういう考え方になじみがある(と思っている)人とっては「何を当たり前のことを」と思われることかもしれないが、いやいや、徹底してできてる人はそう多くないはずで、一端のビジネスパーソンであっても一度目を通す価値はある。

乱暴に主張をまとめると

あらためて、本書の主張を簡単にまとめると……

反応と意見は違う、意見に正解も不正解もない、そもそも一つの正解がないことを考え議論するためには意見を持つこと。意見を持つには考えること。

というもの。

こうした意見をしっかり一冊にまとめあげるあたり(シリーズとして最初から計画されていたとはいえ)さぞクソリプに辟易とさせられているのだろう。

クソリプとは何か 私たちが必要な情報とは何か

ところでそのクソリプについて、本書では「(聞いた人が)結論を変えないどうでもいい情報」(カッコ内・当ブログ筆者)と紹介・定義していて、「なるほど」とも思っただのが、まさにその「情報」についても整理されていて役に立ったのでまとめておく。

ちきりんさんは、世の中には「正確だが無意味な情報が存在する」と指摘し、それは専門家でもない人同士の議論(またはその前提となる「考えること」)には意味がないと述べている。

その例として、尊厳死に関するスタンスを述べたときに薬剤名を間違えていたという本人の過去の例を挙げている。そこでちきりんさんは、その薬剤名がなんであれ自分の尊厳死に対する考え方は変わらないということが大事なのであって、そこまで詳細な情報の正確性を求めるのは専門家でいいと解説している。

この表は本書からの引用。

 詳細まで正確な情報厳密には正確でない情報 
意見を変えうる情報●▽●一般の人に重要な情報
意見を変えない情報  
 ▽専門家に重要な情報  

つまり尊厳死の例でいう正しい薬剤名は、詳細まで正確だが意見を変えない情報――4つのセルで言うと左下――にあたるわけだ。

縦割り発想の弊害はどこででも生まれる

このほかにも感心させられた意見、思考が整理できた説明があったので備忘のために列記しておきたい。
  • 仲間に求められるのは意見である
  • ネガティブな反応は賢そうに見える(だけ)
  • リーダーシップの第一歩は意見を持つこと
  • 縦割り発想には弊害がある
いずれも「分かる分かる」と共感する意見・スタンス。特に「縦割り発想」については悩ましく感じることがよくある。

自分の仕事に置き換えていえば、別の部署が担当をしているメディアでも、自分が「おかしい」と思ったら言うべきだと思っているし、逆に自分の担当メディアについてよその部署のメンバーから指摘や意見・提案があってもいいと思っている。「自分の担当じゃないから僭越だ、恐縮だ、申し訳ない」と思う必要はない。

読者のため、メディアそのもののためになるのだから。そもそも部署は違っても同じ会社でもあるわけだし、意見はいうべきだ。

しかし、ここで難しいのは、のべつ幕なしに意見を言えばいいというものでもないということだ。

たとえば自分の仕事が最低限ちゃんとできてもいないのに他人の仕事に口出しをするのは順序が違うし、意見を誰かに述べるのは、相手(聞き手)の時間をとるわけなので、それなりにしっかりと調べて、考えてからモノをいうべきだろう。

だが、そう言い始めると、いつまでたって「自分なんかは……」と考えて躊躇する人ばかりになってしまいそうではある。

このあたりは、発言・提案する内容の正確性・正しさの問題だけではなく、相手との関係性やコミュニケーション、人間関係の問題もからみそうではある。

しかし、それを差し引いてなお、「言うべきは言う」そして、自分がそう思っているからこそ「言われるべきは聞き入れる」ことも大事だ。

生きづらい時代になった理由

ちきりんさんはまた「生きづらさ」が世をおおっている現状を憂い、その根源的問題として「学校的価値観」を指摘している。生きづらさの理由として橘玲さんはリベラル化とグローバル化の進展を挙げているが、ちきりんさんの「学校的価値観」といういかにもドメスティックな理由にも深く納得させられた。

どちらが正しいとか、ちきりんさんが橘さんと意見が違うということではないだろう。あくまで、問題を指摘して考えさせる上での著書でのアプローチには違いがあるというだけの話。


2022年1月30日日曜日

『金融サービスの未来』感想――「顧客が損しても儲かる」から「顧客を儲けさせてはじめて儲かる」へ


金融サービスの未来: 社会的責任を問う (岩波新書 新赤版 1904)』(新保恵志著)は著者が元銀行員(日本開発銀行→住友信託銀行、いずれも入行当時)だけあって、銀行に対する新しい在り方の提言は具体的かつ実践的に感じた。

ここが変だよ日本の銀行

特に手数料や金利について消費者、ユーザーの視点からおかしいと思われることを指摘し、「こうあるべきだ」という分かりやすい提言をしている。

特になるほどと思ったのは次のような箇所だ。

かつて銀行がよく売った元本保証型の一時払い変額年金保険は、売った時点で手数料がひかれたマイナスからのスタートとなるにもかかわらず、そうした説明が不十分であること。

投信の手数料については、銀行は販売手数料を顧客でなく投信会社など販売を委託した主体からとるべきであること、信託報酬や運用手数料は基準価額が最高を更新したときにだけ払ってもらうようにすべきこと。

たとえば銀行の普通預金金利はどこも横並び――メガとネットバンクでは異なるが、競合同士(メガ同士、地銀同士など)ではだいたい同じ――だが、信用リスクが高い銀行に預けたら高い金利をつけるべきこと。

銀行がお金を貸すときに保証を求めるなら、保証協会の費用はお金の借主に負担させるべきではないこと。

いずれも納得だった。

手数料のあり方 すなわちビジネスのあり方そのものを見直すべき時期では

特に手数料については、銀行のみならず金融業界がそのあり方を見直すべき時期なのではないかと思う。

金融商品を販売することで(売買するたびに)手数料を受け取っているから、証券会社が顧客に不要な売買を繰り返させたりする。売ってしまえば後のことはどうでもいい「売ったもん勝ち」の営業がはびこってしまう。顧客が損しても売る側は得をとっているから信用されない。

投信の運用もそうで、基準価額がクソ下がってるのに手数料とるから「おかしい」と思われるわけで、上で紹介したように「成果が出たら払ってもらえる」ということにすればいい。

だからといって、「販売手数料をなくしたらロビンフッドのような形になって、ゲームストップ株のような問題が再発する」ということでもないはず。

顧客が損したら売った側も損しろとは言わないが、得はしないようにすべきなのかもしれない。少なくとも金融機関のトップのクソ高い報酬はいつまでも許容され続けることはないような気がする。

2021年1月20日水曜日

エンリケさんの新刊『億稼ぐ接客術』感想──成功者は魔法が使えるわけではない

最近、エンリケさんをテレビで観て知り、「エンリケって航海王子かよ笑笑」とか思いながら観たのだが、思いのほか面白い人で感心した。そしてその数日後、田端さんが著書を勧めているらしいことをネットで知り、『結局、賢く生きるより素直なバカが成功する 凡人が、14年間の実践で身につけた億稼ぐ接客術』(講談社)を買って読んでみた。

結論からいうと、私の学びはごく陳腐。「成功には秘策はなく、誰もが当たり前だと思う徹底してやりきるしかない」ということだ。

2020年12月30日水曜日

運動しながら本が読めたら……Audibleとaudiobookを比較してみた


© Amazon


AmazonのAudibleとオトバンクのAudiobookを試してみた。リモートワークがメインになって電車に乗る機会が減り、本を読む時間が減ったからだ。似ているようで異なるサービスを比較してみた。